1人暮らしを始めた矢先に始まったストライキは、幸い2日間で終了した。
そこで、翌日ソーシャル・インシュアランス・ナンバー(SIN)を申請しに行くことに決めた。
カナダで働くためには、ワーキングホリデービザの他にSINを取る必要があるのだ。
申請方法はいたって簡単。最寄のエンプロイメント・センターでSIN用の申請用紙に記入例通りに書き、ビザとパスポートを一緒に提出するだけ。
あまりにもあっけなく終わったため、この勢いで大使館に在留届を提出しに行くことにした。
在留届を出しておけば、カナダで万が一何かあった時に日本の家族にすぐ知らせてもらえるらしい。
在留届もあっという間に済んだため、電話の申し込みもしてしまうことにした。
夕方16時過ぎのイートンセンターにあるBell Canada(日本でいうNTT)は、いかにも仕事帰りといったスーツ姿の人達で、びっくりするくらいに混んでいた。
番号札を取り、待つこと数十分。コールされた先にいたのは、Michaelというアジア系の男性だった。笑顔満点で感じ良し。
ところがどっこい、この男、基本サービス以外にも全てのサービスが3ドルで1ヶ月使えるので試してみたらどうだとしつこく言ってくる。
当時のカナダには、留守録機能がついていない激安の電話機が多く出回っていたこともあり、お試しサービスの中にはセンター留守録機能もあるから便利だとのたまう。
でも私が買った電話機には留守録機能がついているから全く必要はない。とにかく無駄なく安くと思っていたので、「結構です!」としっかり断っているのにも関わらず、まったく懲りることなく強引に勧めてくる。
「ったくしつこいなぁ・・・。いや待てよ。無職の身分で強引に断ったら、悪い印象を与えてデポジットを高くとられるかもしれない・・・。」
急に不安になった私は、「じゃあ使ってみます・・・。」と答えてしまった。
「あぁ面倒なことになったなぁ・・・また1ヶ月後断りの連絡をしなくちゃ行けないよ・・・。」
しかし結果的にはそれが功を奏したのかどうかはわからないが、無職だと500ドルは取られると聞いていたデポジットは200ドルだった。
「とりあえず電話はつながったし、まだまだやらなきゃいけない手続きは他にもある。細かい事を気にしてたら身がもたん!よっしゃ次次!」
とフードコートで夕食をテイクアウトし、足早に家に戻った。