年が明け、少しずつトロントを発つ時がせまっていることを実感し始めた。
寒いからといって引きこもってる場合ではない。
とある日、何かいい情報ないかなぁと市民スクールの冊子を見ていたら、ちょうどスペイン語講座が始まることを知った。
実はトロントにいたにも関わらず、その頃の私はラテンアメリカのスポーツや文化などに憧れを抱いていた。
だから周りが英語を勉強する中で、1人スペイン語の勉強にいそしんでいたのだ。
そんな自分には願ってもいない朗報である。
週1回のクラスで3月いっぱいで終わるので、帰国にも間に合う。
たまたま大学の第二外国語でスペイン語をとっていた友達が話にのり、一緒に通うこととなった。
場所はRosedale駅近くにある高校。偶然にもギターを教えてくれた友達が通っている高校だ。
クラス初日。
教室に入ると、いかにも芸術系高校らしく生徒が描いたらしき沢山の絵画が飾られていた。
夜のクラスだからか、生徒は社会人がほとんど。
というより、かなり年配の方が多く、20代と思われるのは私達くらいだ。
先生はアルゼンチンからの移民で、笑顔が濃くて感じが良い男性だった。
初心者のクラスなので、内容は簡単。
出席率の良いクラスで人数も常に20人位はいるので、指名される機会は滅多にないので気が楽だった。
スペイン語の母音は日本語と似ているため、私達日本人にとって発音は簡単だった。
ところがカナダの方々には相当難しいらしく、いつも尊敬のまなざしで見られた。
一番緊張したのは、スペイン語で回答する時ではなく、むしろ英文で書かれたテキストの文を読むよう指名された時だった。
周りは全て英語ネイティブの方々だからだ。
スペイン語ではたどたどしい彼らも、英語となればめちゃくちゃ流暢・・・って当たり前の話なのだが。
授業は初心者レベルらしく歌の時間がふんだんに取り入れられ、いつも和やかな雰囲気。
寒いトロントで、週に一度の心温まる時間となった。