2022.2.18更新
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メディアで多く取り上げられるようになってから、日本でもすっかり有名になった台湾の超高級料理、佛跳牆(ぶっとびスープ)。
私は漫画を読まないので詳しくは知らないのだが、『美味しんぼ』の究極メニューとしても登場したらしい。
もしかすると、「佛跳牆」という文字より「ぶっとびスープ」という音の方が耳馴染みが深いかもしれない。
渡辺満里奈の著書『満里奈の旅ぶくれ―たわわ台湾―』が、佛跳牆(ぶっとびスープ)の名を広める大きなきっかけになったと思われる。
最初の出版から15年ほどたった今でも、テレビ番組などでおすすめしていたのを見た。
よほどご贔屓の一品なのであろう。
以前から機会があれば食べたいと思いつつ、値段が超高額かつボリュームが多いこともあって、なかなかチャンスに恵まれることがなかった。
ところが「その時」は突然やってきた。
しかも300元(約1,200円)という破格の安さである。
場所は日本人観光客にも大人気の問屋街、迪化街(ディーホアジェ)のほど近く。
大稻埕慈聖宮媽祖廟の門前に立ち並ぶ露店街。
その中に、阿発海鮮(阿發海鮮)という海鮮料理屋がある。
そこの推薦メニューとして佛跳牆があったのだ。
300元なら失敗してもまぁいいだろうということで、早速注文してみた。
いよいよ私も佛跳牆(ぶっとびスープ)デビューである。
期待と不安に胸を膨らませつつ、待つこと5分。
ついに佛跳牆(ぶっとびスープ)との初対面を迎えた。
台湾に行ったことのある方なら既にご存知のことかと思うが、台湾の料理は見た目と美味しさが必ずしも比例しない。
初めて対面した佛跳牆(ぶっとびスープ)も、見た目の良さを一切無視した様相ではあったものの、一口含んだ途端にうま味のビッグウェーブが襲ってきた。
これはうまい。相当にうまい。海と陸のうま味が総動員である。
大好きなタロイモが入っているのが更に良い。
無心に食べ続け、あっという間に平らげてしまった。
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それにしても300元とは値段が安すぎる。
庶民的な食材、タロイモの分を差し引いたとしても値段の疑惑が払拭できず、困った時のWikipediaということで、何をもって佛跳牆(ぶっとびスープ)と呼べるのか、またどうして佛跳牆(ぶっとびスープ)はそんなに値段が高額なのか調べてみた。
佛跳牆(ぶっとびスープ)は、台湾料理の基盤ともいえる福建省発祥の伝統的な高級スープらしい。
これは私も聞いたことがあったのだが、修行僧があまりのおいしそうな香りに寺の塀を飛び越えて来たという逸話が名前の由来とのこと。
※諸説あり
乾物を使用するとあるが、必ず入っていなければならないものは特になさそうだ。
主な食材としては、干しアワビ、干しナマコ、干し貝柱、フカヒレ、サメの尾ヒレの付け根部分、魚皮、魚の浮き袋、干しシイタケ、朝鮮人参、龍眼、枸杞の実、干し海老、するめといったところ。更に乾物以外の白子、中華ハム、卵、豚の筋、豚ヒレ肉、鶏胸肉、アヒル肉などが使われる。
参考サイト:Wikipedia
乾物を戻すなど下処理に数日から一週間程度要し、更にこれらの食材を陶器の壺に入れて数時間から数日かけて煮込む。
店によっては50万円もするらしいのだが、食材自体の高級さだけでなく、手間ひまがかかることも値段が跳ね上がる要因の一つであろう。
私が食べた佛跳牆(ぶっとびスープ)には何が入っていたか。
ナマコはすぐ判別できたが、その他の高級食材は全てグレーゾーンである。
フカヒレは限りなく無しに近い。値段の安さの理由はきっと食材の差なのだと思う。
こうなると俄然高級な佛跳牆(ぶっとびスープ)に興味が沸いてくる。
日本で佛跳牆(ぶっとびスープ)と言えば、一番有名なお店が渡辺満里奈がすすめる明福台菜海産だ。
ここは一番小さいサイズでも3,600元(約14,400円)。
ミシュラン星獲得の金蓬萊台菜餐廳では、帝王佛跳牆というメニューで4,000元(16,000円)。
高級海鮮料理として有名な真的好海鮮餐庁では4,880元(約19,520円)というまさにぶっとび価格である。
さすがにスープで1万円超えは躊躇する。
未練がましくインターネット検索を進めると、結構色々なお店で佛跳牆(ぶっとびスープ)を提供していることがわかった。
台湾料理の有名店、欣葉では820元(約3,280円)だ。
これでも十分高額なのだが、何だか安く思えてくるから不思議である。
好記担仔麺では更に安く食べることができるらしい。
なんと魯肉飯(ルーロハン)の有名店、鬍鬚張魯肉飯にもあるではないか。(冬季限定メニュー)
思わぬところで佛跳牆(ぶっとびスープ)の守備範囲の広さを知った。
何とも寛容的ではないか。
正統派佛跳牆(ぶっとびスープ)を夢に見つつ、しばらくは庶民派佛跳牆(ぶっとびスープ)の食べ比べも悪くないかもしれない。
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