NHKのテレビ番組「ためしてガッテン」の特集などを見ていた時は他人事に思っていた私にも、ついにその時がやってきました。
四十肩です。
早速インターネット情報を検索すると、四十肩の関連記事はいっぱいあがってくるものの、ほとんどが病院や整体院の一般的な情報でした。
たまに個人ブログなどを見つけても、治ったところまでの記事がなくて、その後四十肩がどうなったのかわからない記事が多かったです。
実際に四十肩を経験した人に聞くと、いつかは治るから大丈夫と言ってくれましたが、痛みの絶頂期は本当に治るのかどうか不安でしょうがない時もありました。
でも自分でストレッチやツボ押しなどを続けていたら、発症から半年で痛みがすっかり取れて、1年たたないうちに肩も上がるようになって、本当に四十肩って治るんだと実感することができました。
そこで今回、四十肩がどのように起こってどのように治っていったか、詳しく経緯を書いてみたいと思います。
※個人の経験であることをご了承くださいませ
四十肩とは(原因・症状・治療方法)
四十肩の原因・症状
四十肩は医学用語では肩関節周囲炎と呼び、発症する年齢によって五十肩とも呼ばれます。
四十肩の主な症状は、肩が上がらないなど動きが悪くなること、激しい痛みを伴うことです。
老化が主な原因と言われていますが、詳細はいまだ判明されていません。
一般的的には姿勢の悪さや血行不良など、生活習慣の蓄積による関節包・滑液包の炎症と言われています。
発症のしかたも個人差があります。スポーツや雪かきなど激しい肉体労働をきっかけに起こる人もいれば、原因がないのに気が付いたらどんどん肩の動きが悪くなって痛みが強くなったという人もいます。
痛みがでる箇所は肩関節周りの筋肉、主に上腕二頭筋や三角筋肉、そして腱板(筋肉と骨をつなぐもの)などです。
四十肩は、大きく分けて3つのステージをたどります。
四十肩のステージ①炎症期(疼痛期)
炎症期(疼痛期)は、炎症で痛みが最も強い時期です。特に腕を動かさなくても強い疼痛が生じることもあります。
夜間に痛みが大きくなるため、睡眠に大きな影響を与えることが多いです。
炎症期は一般的に2週間程度とされています。
四十肩のステージ②拘縮期
拘縮期になると、痛みのピークが過ぎてだいぶ痛みが落ち着いてきます。
ただし特定の動きをすると痛みが出たり、肩や腕の動きは大きく制限されます。
痛みは、特に動作の後半に出る傾向が高いようです。
拘縮期は一般的に半年から1年とされています。
四十肩のステージ③寛解期
寛解期に入ると、痛みや動きの制限はなくなります。
ただし発症前とは違い、肩の動かしにくさを感じたり硬さが出たりすることがあります。
四十肩の一般的な治療方法
保存療法:運動療法(リハビリ)・薬物療法
病院での四十肩の治療は、保存療法が中心となります。
可動域制限を広げるために、欠かせなのがリハビリ(運動療法)です。
痛みを緩和するために、薬(貼り薬・塗り薬・痛み止め)を使用することも多いです。
痛みが強い時にはステロイド剤を注射することもあります。
その他、状況に応じて遠赤外線をあてる温熱療法、炎症を鎮める寒冷療法などもおこないます。
はりきゅう整骨院などでは、はり灸を施したりマッサージをおこなったりもします。
手術療法
手術がすすめられるケースはとても少ないです。
また内視鏡を使う手術であれば、傷口を小さくし術後の回復を早めることが可能です。
四十肩の発症から回復まで・私の場合
以上、一般的な四十肩について書きましたが、私の場合は発症の段階から少し違っていました。
四十肩になったきっかけはギックリ腰
私が四十肩になったきっかけは、すばりギックリ腰(急性腰痛症)です。
ギックリ腰になる前から左腕のあたりに軽い痛みや硬さを感じることはありました。
でも決して腕が上がらないとか回らないとかはなかったのです。
ところがギックリ腰になって2週間ほど経過すると、腰の状態が良くなってくるのと引き換えに腕があれよあれよと動かなくなってきました。
おそらく腰をかばって変な動きをしていたり、ずっと続けていたストレッチを休まざるをえなかったことが原因だと思っています。
実際この期間は、腰が痛むので腕を上げる動作をほとんどしていませんでした。
腰のリハビリ理学療法士の診立てはやはり四十肩
病院で医師に診てもらうか悩みましたが、ちょうど整形外科で最後の腰のリハビリを予約していたので、まずは理学療法士の方に相談してチェックしてもらうことにしました。
すると、予想通り四十肩の可能性が高いと言われました。
ちょうどその頃、夫も肩の激痛に悩まされていて、彼はレントゲンを撮ってもらい肩関節周囲炎(四十肩)と診断されました。
痛みや可動域の状態から、まずは保存療法でいいのではと言われました。
私も夫と同じ程度の痛みだったため、改めてレントゲンを撮るのはひとまずやめ、自分でリハビリをしてみることにしました。
四十肩のセルフケアで参考にしたもの①片山洋次郎著『整体から見る気と身体』
片山洋次郎氏は野口晴或氏の思想をベースにした独自の整体法を編み出した人で、よしもとばなな氏との親交も深く著作の推薦文を寄せたりしています。
片山氏の著書『整体から見る気と身体』は、さまざまな病について一般的な解釈とは違う視点から原因や対策について述べています。
私は心身の不調が起こるとよく『整体から見る気と身体』を読み返しては参考にしています。
四十肩についても、とても興味深いことが書いてありました。
四十肩とか五十肩というのは、治そうとしてもなかなかよくならないんですが、ほっといても必ず治るんですね。
治らない人というのはまずいませんから、何かからだの必要があるんだと考えたほうが正解だと思うんですね。
そういう見方でいくと、胸椎の2番に狂いが出いてる、ねじれているんです。
それでそこの所がどういう所に関係があるかというと血管系の全体に関係があると考えていいのです。
(中略)
つまり、肩という一部分にしわ寄せはいきますが老化によって体のバランスが変わって行く期間に、うまく血管系―――一番大事な部分を守るという一つの体の選択なんだろうと思います。
『整体から見る気と身体(片山洋次郎著)』より引用
もし肩の痛みが老化の過程で血管系の病気になるリスクを抑えてくれているのだとしたら、四十肩だけのことを考えて、むやみに治療してしまうのはどうなのかと思えました。
四十肩からは少しそれますが、アトピーをステロイド剤で急速に治したら今度は喘息になったという話を聞いたことがあります。
身体を全体的に捉えるならば、肩の症状だけをピンポイント的に見てどうにかしようとするのは、不自然な方法なのかもしれません。
四十肩のセルフケアで参考にしたこと②北原雅樹医師のyoutube動画
知人に教えてもらった医師のYouTube動画もめちゃくちゃ参考にさせてもらいました。
慢性痛診療の第一人者である北原雅樹医師の五十肩に関するYouTube動画です。
YouTubeの内容は北原医師自身の体験に基づいているので、とても説得力がありました。
医師ならではの立場から、どうして五十肩(四十肩)の治療技術が進まないのか、薬の適切な使い方、それぞれのステージ毎にやるべきことなど詳しく説明してくれています。
実は私がこの動画を知ったのは四十肩の拘縮期にあたる頃で、すでに痛みのピークは過ぎていました。
もし激痛に苦しんでいた炎症期にこの動画の存在を知っていたら、もっと不安を感じず冷静に対処できただろうと思っています。
四十肩の回復に向けて実際におこなったセルフケア
四十肩を治すために私がおこなったのは、主に運動療法です。
運動療法と言っても、やり方はとっても簡単。
ただ腕を前後左右に振るのと、肩に手を添えて内まわし外まわしをするだけです。
前述の北原医師は、電車のつり革を持ってゆらゆら揺らすのが効果的だったと話していました。
でも私は腕がつり革まで上がらなかったので、朝晩2回くらい腕をその時の可動域最大まで降っていました。それぞれの動きを20回から30回程度です。
毎日続けていると「あれ?昨日はここまで上がったっけ?」という日がちょこちょこと出てきて、着実に回復してることが実感できました。
ただ炎症期の頃は、ちょっと肩が何かに触れただけで頭が真っ白になって動けなくなるくらいの激痛に見舞われることもしょっちゅうでした。
不思議なことに1分ほど耐えていると嘘のように痛みが引いていったのですが、腕をぶんぶん振るのは恐怖だったので、生活上必要な動きをする程度。
あとは湿布を貼って痛みをしのいでいました。
半年ほどで痛みのピークが過ぎ拘縮期を迎えた頃には、すでに北原医師のYouTubeを見ていたため、動画のやり方に沿ってひたすら腕を動かしていました。
拘縮期の運動療法で大事なポイントは「やり過ぎ」と「やらなさ過ぎ」。
北原医師曰く、翌日に痛みを持ち込むのはやり過ぎということで、そうならない程度に可動域のギリギリラインを探しながら動かしました。
また、四十肩の拘縮期に大活躍したのがお灸です。
お灸を痛い所に貼るだけで周辺の血流が良くなって気持ちがいいので、まとめ買いをして毎日やっていました。
これは四十肩が回復してから知った情報ですが、お灸は熱いし跡が残るから嫌だという場合は、ツボテープを貼る方法もあります。
NHK健康チャンネル公式サイト【慢性痛を改善!?「不思議な鍼(はり)」の効果に迫る】
四十肩に関するツボは、肩井(けんせい)や肩りょう(けんりょう)など調べればいろいろと出てきます。
ただ実感としては、ツボの場所にこだわるより自分の感覚で探す方がわかりやすくていいと思いました。
そっと押して痛い所や違和感を感じる所にお灸や鍼テープを貼ったりします。軽く10秒ほど押すだけでもいいです。
これらのセルフケアをおこなった結果、おかげさまで肩の調子は1年ほどですっかり良くなりました。
【まとめ】四十肩を発症したときに慌てないためのポイント
四十肩は再発する可能性があると言われています。また、左右両方発症することもあります。
もしまた四十肩になったらどうするか、最後にまとめておきたいと思います。
もちろんはじめて発症した場合でも一緒です。
整形外科で四十肩か他の損傷か診断を受ける
今回はたまたまリハビリ理学療法士の方に相談する機会があったのでやりませんでしたが、まずレントゲンを撮ってもらって四十肩かどうかの切り分けだけはしておこうと思います。
類似の症状として、肩腱板の損傷や断裂もあるからです。
四十肩と診断されたならば、リハビリは一人でやるのが不安だったり頻繁に通える状況なら通ってもいいと思います。
私は今回やったセルフケアをやると思います。
また病院に行った際に、鎮痛薬や消炎クリーム・湿布などを処方してもらってもいいでしょう。
使う使わないは別として、痛みが出た時のお守り代わりになります。
炎症期は無理しない&我慢しない
炎症期で痛みが激しいときは、決して無理に動かそうとせず、できるだけ腕を休ませてあげます。
また眠れないときは我慢せずに鎮痛薬を服用します。
肩サポーターや枕など便利なグッズもあるみたいです。中でも肩サポーターはいいなと思いました。腕をただ下に降ろしているだけで肩の重みで痛みが出る時があったからです。もし四十肩が再発したら買っちゃうと思います。
四十肩はいつか治ると気楽に過ごす
これは四十肩に限った話ではありませんが、ストレスは大敵です。
一般的に四十肩は完治するまでに時間がかかるので、どうしても無理をしたり早く治そうと焦ったりしがちですが、なんだかんだ抗わないほうが結果的には良いのです。
痛みで夜眠れなくても、昼寝が許されるなら眠れる時に寝る。そんな悠長なことを言ってられない状況なら、鎮痛薬を服用したり湿布を貼るなどして痛みを最小限に抑える。
そういうお年頃なんだと割り切って、とにかく可能な限り我慢しないで気楽に過ごすのが一番です。
以上、四十肩(肩関節周囲炎・五十肩)について、一般的なケースと私個人の体験について書きました。少しでも四十肩で悩んでいる方のお役に立てたなら嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました。