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【ワーホリ回想記・ミレニアムトロント】2.伊達男

トロントには、姉と一緒に来ていた。

最初の1週間だけ付き合ってもらい、2人でホテルに滞在している間に今後の住む部屋を決めようとしていたのだ。

ところが街の第一印象が悪かったせいか気分が全く乗らず、腰もついつい重くなり、住んでも良いかなと思える物件を見つけられないまま姉の滞在最後の夜を迎えてしまった。

「あー困った、明日からどうしよう。」

滞在中のホテルは高級すぎて、1人で泊まり続けるわけにはいかない。行き詰った私はとても食欲がわく状態ではなかったけれど、 姉は全く意に関せず。

「なるようにしかならないでしょ。ところでお腹空かない?夕食どうするよ?ここのホテルのイタリアン口コミめちゃくちゃいいらしいよ。最後の夜だしパーっといこうぜ。」

と、人の気持ちを知ってか知らずかさっさと予約をすませると、ぶつぶつ言う私を引き連れてレストランに向かった。

たしかに料理は評判通りにおいしくて、パスタの湯で加減も絶妙だった。北米では麺のコシに失望する店が多い中、納得のアルデンテだった。

メイン料理を食べ終え胃袋が許容量を超えようとしていた頃、私たちのテーブルに頼んでもいない白ワインの入ったグラスが運ばれてきた。

「あのう、注文してませんけど・・・。」

おずおずとウエイターに伝えると、

「あちらの方達からです。」

と示す手の方向には、一瞬身を引くほどの笑顔を振りまく男2人が座っている。

ここ数日、ホテル内で美容関係のコンベンションが行われていたらしく、明らかにその関係者だとわかる風貌を備えた2人は、戸惑う私たちのテーブルに来て、これ以上ない最高のやり方で名刺を差し出した。

そこにはやはり美容室らしき名前が記されていて、苗字からイタリア系だとわかった瞬間に、私は全てを察した。

当時イタリアのサッカーにはまっていた私たち姉妹の間では、「サルーテ!」というイタリア語での乾杯が暗黙の了解になっていて、数十分ほど前にもその儀式を終えたばかりだったのだ。

それを聞き逃さなかったラテン人の天性にはほとほと感心したが、決して悪い気はしなかった。

もちろんそれ以上のイタリア語が話せる訳もなく、英語も恋愛に耐えうる程には上達していなかったので、後ろ髪ひかれる思いでその後のお誘いは丁重に断ったものの、イケメンにナンパされすっかり気を良くしたのか、姉が家捜しを手伝うために帰国を1週間延長してくれたのだった。

 

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Typical viwe of Toronto-CN tower.

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