旅のエッセイ「超お手頃な値段の佛跳牆(ぶっとびスープ)を発見」

台湾
台湾旅の森旅のエッセイ

2021.3.13更新

 

台湾好きなら恐らくご存知の方も多いであろう超高級料理、佛跳牆(ぶっちょうしょう、フォーティャオチァン)。

 

 

私は漫画を読まないので詳しくは知らないのだが、『美味しんぼ』の究極メニューとしても登場したらしい。

 

もしかすると、佛跳牆という文字よりぶっとびスープという方が馴染み深いかもしれない。

 

渡辺満里奈の著書『満里奈の旅ぶくれ―たわわ台湾―』が、佛跳牆の名を広める大きなきっかけになったと思われる。出版から15年ほど経った最近のテレビ番組でもすすめていたのを見たので、よほどおすすめの一品なのであろう。

 

以前から機会があれば食べたいと思いつつ、高級かつ量が多いこともあって、なかなかチャンスに恵まれることがなかったのだが、その時は突然やってきた。しかも300元(約1,110円)という破格の安さである。

 

場所は最近大人気の問屋街、迪化街の近くにある大稻埕慈聖宮周辺の露店街。その中に阿発海鮮(阿發海鮮)という海鮮料理屋がある。そこの推薦メニューとして佛跳牆があったのだ。

 


 

台湾見っけ公式facebookより引用   廟の前の参道には魅力的な飲食店が連なる

 

台湾見っけ公式facebookより引用   廟内にあるガジュマルの樹の下で食べるのも心地良い

 

300元なら失敗してもまぁいいだろうということで、早速注文してみた。

 

いよいよ私も佛跳牆デビューである。期待と不安に胸を膨らませつつ、待つこと5分。ついに佛跳牆との初対面を迎えた。

 

台湾に行ったことのある方なら既にご存知のことかと思うが、台湾料理は見た目と美味しさは必ずしも比例しない。初めて生で見る佛跳牆も、見た目の良さを一切無視した様相ではあったものの、一口含んだ途端に旨味のビッグウェーブが襲ってきた。

 

これはうまい。相当にうまい。海と陸の旨味が総動員である。大好きなタロイモが入っているのが更に良い。無心に食べ続け、あっという間に平らげてしまった。

 

しかし300元とは安すぎる。庶民的な食材、タロイモの分を差し引いたとしても値段の疑惑が払拭できず、困った時のWikipediaということで、何をもって佛跳牆と呼べるのか、またどうしてそんなに値段が高いのか調べてみた。

 

佛跳牆は台湾料理の基盤ともいえる福建省発祥の伝統的な高級スープらしい。これは私も聞いたことがあったのだが、修行僧があまりのおいしそうな香りに寺の塀を飛び越えて来たという逸話が名前の由来とのこと。

乾物を使用するとあるが、必ず入っていなければならないものは特になさそうだ。

主な食材としては、干しアワビ、干しナマコ、干し貝柱、フカヒレ、サメの尾ヒレの付け根部分、魚皮、魚の浮き袋、干しシイタケ、朝鮮人参、龍眼、枸杞の実、干し海老、するめといったところ。更に乾物以外の白子、中華ハム、卵、豚の筋、豚ヒレ肉、鶏胸肉、アヒル肉などが使われる。

参考サイト:Wikipedia

 

乾物を戻すなど下処理に数日から一週間程度要し、更にこれらの食材を陶器の壺に入れて数時間から数日かけて煮込む。店によっては50万円もするらしいのだが、恐らく食材自体の高級さに加え、手間ひまがかかることも値段が跳ね上がる要因の一つであろう。

 

私が食べた佛跳牆には何が入っていたか。ナマコはすぐ判別できたが、その他の高級食材は全てグレーゾーンである。フカヒレは限りなく無しに近い。値段の理由はきっと食材の差なのだと思う。こうなると俄然高級な佛跳牆に興味が沸いてくる。

 

(その後2021.3.13に放送されたNHKBS1スペシャル「突撃!ストリートシェフ@台北」で謎が判明。ナマコと思っていた具材はサメの皮。高級食材と呼ばれるものは一切入ってなく、アワビのようなものも実はアワビに似せたイカだった。味の決め手は排骨とのこと。

素材的には完全にニセ佛跳牆と言わざるを得ないが、庶民にも佛跳牆を楽しんでほしいという店主の強い想いは、真実か否かとは全く別次元の所にあるように思えた。少なくとも私には十二分にぶっ飛べる味だった。)

 

佛跳牆で一番有名なお店が、渡辺満里奈がすすめる明福台菜海産だ。ここは一番小さいサイズでも3,300元(約12,210円)。ミシュラン星獲得の金蓬萊台菜餐廳では、帝王佛跳牆というメニューで4000元(14,800円)。高級海鮮料理として有名な真的好海鮮餐庁では4,880元(約18,056円)というまさにぶっとび価格である。

 

さすがにスープで1万円超えは躊躇する。未練がましく検索を進めると、結構色々なお店で佛跳牆を提供していることがわかった。台湾料理の有名店、欣葉では820元(約3,034円)だ。これでも十分高いのだが、何だか安く思えてくるから不思議である。好記担仔麺では更に安く食べることができるらしい。なんと魯肉飯の有名店、鬍鬚張魯肉飯にもあるではないか。(冬季限定メニュー)

 

思わぬところで佛跳牆の守備範囲の広さを知った。何とも寛容的ではないか。正統派佛跳牆を夢に見つつ、しばらくは庶民派佛跳牆の食べ比べも悪くないかもしれない。

 

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